1970 VINTAGE / LEVIS 606 BIG E

1970 VINTAGE / LEVIS 606 BIG E

por MizoguchiTsubasa

ジャンクな古着からランウェイデザイナーズの新品まで多種多様な服で溢れた弊店

 

なんでもかんでも好き勝手に楽しく物を選んでいるように思われていそうだけれど、そんな中にも私なりに遵守している制約の様なものがある

 

例えば古着のBLUE DENIMのセレクション

 

一部の例外を除いて、1970年代以降の物はあまり置かないようにしている

昔はVINTAGE DENIMと呼べるのは1970年代以前のものに限られていた

 

古着は資源であり、時代とともに物は枯渇していくばかりであるのだから、そんな価値観やルールや枠組みはスライドして変化していくのが当たり前

それでも可能な限り、意気地になって固執していくことも必要

 

自分の中では、残したい古典と、淘汰しても良い古典があった

 

敢えてゲームの中に縛りを設けることで自分の仕事に楽しさを見出しているのかもしれないし

こんな古臭い慣習が店の深みにつながっていると信じている節もある

 

そもそも私は元々VINTAGE DENIMに造詣のあったタイプの人間ではない

古着屋になったばかりの当時は興味すらなかった

自分自身が昔から所謂VINTAGE DENIMをほとんど履いてこなかったし

好きこそもののなんとやらというか、それに尽きる

517と646のコインポケットの有無の違いすら知らなかった

 

そんな若かりし当時の自分に、私の古着の師匠が言った言葉

"デニム知らない古着屋は、マグロ知らない寿司屋と同じやぞ"

この言葉が未だに強烈に頭の中に残っている

 

良いマグロが知っている寿司屋になりたかった。

 

みんながサーモンが好きなのは知っているけど

それでも、良いマグロが出せる寿司屋になりたかった

 

...ちょっとズレたな

 

お店に1970年代初頭のLEVIS606のBIG Eが入荷

今後、いくつかのバリエーションで提案して参ります

 

早速、表紙のノーダメージの一本は売れてしまったけど

このスペシャルクラッシュなエディションも見逃せない

 

私の中で、これは昔から本当に別格のVINTAGE LEVIS

これに関しては、見つけたら絶対買っとけ。って心の底から言える

だって10年前からすでに絶滅危惧種ぐらいに買えなかったし、10年前にも同じこと言ってた気がするもの

耳付きがいいとか言ってる場合じゃない

 

なぜ今、また606なのか

 

音楽的なカルチャーを振りかざす訳では勿論ない

カルチャーに縛られてすぎてるやつ、だいたいダサいでしょ

 

少し前にfernwehではマルタン・マルジェラのスキニーデニムを提案していた

 

飽和したワイドから徐々に細くなっていくであろうボトムスのラインではあるけれど、今に提案するなら、まだアンチテーゼも付与できるタイミングだった

そんなスキニーシルエットの原点がLEVIS 606

ここから全てが始まっていると言っても過言ではない

 

要は、物質としての強度性

 

資本主義の象徴のようなスキニーの文脈でいくら過去を掘り起こしたとしても

これ以上に強度の高いプロダクトは存在し得ないだろう

そういった服は、単純な話

物質レベルで本当に持っておいた方が良い物だと思う

 

溝口